第7章 ディレイ/リバーブ/サイドチェイン
T-8のエフェクトは、単に音を飾るだけではありません。ディレイとリバーブで奥行きを作り、オーバードライブで押し出し、サイドチェインでキックに合わせた動きを作れます。
この章では、エフェクトを「何を変えたいときに触るか」という視点で整理します。
ディレイの基本
DELAYつまみを回すと、ディレイの音量とフィードバック量を調整できます。つまみを上げるほど、反復音が目立ちます。
ディレイ・タイムは、SHIFTを押しながらDELAYつまみを回して設定します。Delay Syncがオンの場合は、テンポに同期した音符単位で表示されます。
| 表示例 | 意味 |
|---|---|
1_32 | 32分音符 |
1_16 | 16分音符 |
1_8 | 8分音符 |
8d | 付点8分音符 |
1_4 | 4分音符 |
1_2 | 2分音符 |
1_1 | 全音符 |
付点8分や8分系のディレイは、少ない音数でも動きを出しやすいです。細かすぎるディレイはリズムを濁らせることがあるので、最初は少なめにします。
インスト別にディレイを送る
全体のDELAYつまみだけでなく、インストごとのセンド量も設定できます。
SHIFT+C(DELAY)を押します。- ディスプレイに
d.Sndが表示されます。 - 設定したいインスト・ボタンを押します。
TEMPO/VALUEで0〜127のセンド量を設定します。- 終了するときは
C(EXIT)を押します。
ACCENTを押すと、USBからの信号に対するディレイ・センド量も設定できます。MIX INやUSB入力と組み合わせる場合は、T-8本体音だけでなく外部音にもディレイをかける設計ができます。
リバーブの基本
REVERBつまみは、リバーブの音量を調整します。SHIFTを押しながらREVERBつまみを回すと、リバーブ・タイムを設定できます。
リバーブは、短く使うと部屋鳴りのようにまとまり、長く使うと奥行きや広がりが出ます。リズム・マシンでは、キックやベースに深くかけるより、スネア、クラップ、ハイハット、タムに少し足すほうが扱いやすいです。
インスト別にリバーブを送る
インストごとのリバーブ・センドは、次の手順で設定します。
SHIFT+OCT-(REVERB)を押します。- ディスプレイに
r.Sndが表示されます。 - 設定したいインスト・ボタンを押します。
TEMPO/VALUEで0〜127のセンド量を設定します。- 終了するときは
C(EXIT)を押します。
ACCENTを押すと、USBからの信号に対するリバーブ・センド量を設定できます。
ディレイからリバーブへ送る
メニューには、ディレイからリバーブへのセンド量を調整する項目があります。ディレイの反復音にも空間を付けたいときに使います。
ディレイだけだと乾いた反復になり、リバーブへ送ると奥へ流れるような反復になります。多く上げると輪郭がぼやけやすいので、曲中で必要なぶんだけ足します。
オーバードライブ
オーバードライブは、インストごとのオン/オフ、全体のドライブ量、インストごとのレベルで構成されています。
| メニュー | 役割 |
|---|---|
Overdrive On | 選んだインストのオーバードライブをオン/オフ |
Overdrive Drive | 全インスト共通の歪み量 |
Overdrive Level | 選んだインストのオーバードライブ後のレベル |
キックに少しだけオーバードライブを足すと、スピーカーでも存在感が出やすくなります。ベースにかけると前に出ますが、低域が膨らみすぎる場合はLEVELやCUTOFFも合わせて調整します。
サイドチェインの全体像
サイドチェインは、リズム・シーケンサーのインストをトリガーにして、別の音をダッキングまたはゲート的に動かす機能です。典型的には、キックに合わせてベースを少し沈ませます。
メニュー上では、主に次の項目を使います。
| メニュー | 役割 |
|---|---|
Side Chain | 効果の深さと持続時間 |
Side Chain Ducking/Gate | 対象ごとのダッキング/ゲート量 |
Side Chain Time Ratio | 効果時間の倍率 |
Side Chain Trigger Source | トリガーにするリズム・インスト |
Side Chainは1〜50では深さが変わり、50以上では一定の深さのまま持続時間が変化します。Side Chain Time Ratioが1.0の場合、テンポに対して8分音符の長さで効果がかかります。
サイドチェインの対象を選ぶ
Side Chain Ducking/Gateでは、対象ごとにダッキングまたはゲート効果を設定します。
| 対象 | 選び方 |
|---|---|
| インスト | 各インスト・ボタン |
| ディレイ/リバーブ | ACCENT |
| USB入力 | SHIFT + ACCENT |
値は、ダッキング側、オフ、ゲート側に分かれています。ダッキングはトリガーに合わせて音量を下げる方向、ゲートはトリガーに合わせて音を出す方向です。
トリガー・ソースを選ぶ
Side Chain Trigger Sourceでは、サイドチェインを発生させるリズム・インストを選びます。選択肢は、バス・ドラム、スネア、クラップ、タム、クローズド・ハイハット、オープン・ハイハットです。
公式マニュアル上の注意点として、トリガー・ソースにしたインストのLEVELを絞ってもサイドチェイン効果は続きます。ただし、そのインストをミュートするとサイドチェイン効果は失われます。
よく使う設定例
以下は本サイトの使い方提案です。
| 目的 | 設定の考え方 |
|---|---|
| キックに合わせてベースを沈ませる | Trigger Sourceをバス・ドラム、対象をベース、Ducking側に設定 |
| リバーブだけ揺らす | 対象をディレイ/リバーブにして、控えめにダッキング |
| 外部入力をT-8のキックで揺らす | 対象をUSB入力にして、Trigger Sourceをバス・ドラム |
| ゲート的に刻む | 対象をGate側へ設定し、Time Ratioを短めにする |
サイドチェインは派手に効かせるとすぐに音楽的なキャラクターになります。最初はベースに少しだけかけて、キックが見えやすくなる程度から始めると扱いやすいです。
エフェクトを入れる順番
- まずドライな状態でリズムとベースの音量を整える
- リバーブをスネアやクラップへ少し送る
- ディレイをハイハットやタムへ少し送る
- 必要ならオーバードライブをキックかベースへ足す
- 最後にサイドチェインで低音の重なりを調整する
エフェクトは、入れるほど面白くなりますが、入れるほど輪郭も失われます。T-8では「エフェクトを切った状態でも成立しているか」を確認してから足すと、崩れにくくなります。