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第6章 音作りとミックス

T-8では、ステップを打ち込んだあとに音量、ピッチ、余韻、パン、ゲインを整えることで、同じパターンでも印象が大きく変わります。この章では、リズム・インストとベースを混ぜるための基本操作を整理します。

ここで扱う「ミックス」は、DAWのように細かいトラック処理をするというより、T-8単体で気持ちよく鳴るバランスを作るための考え方です。

まずはLEVELでバランスを作る

最初に触るべきなのは各パートのLEVELです。キック、スネア、ハイハット、ベースの音量関係が決まると、パターンの印象が一気に安定します。

パート役割バランスの目安
バス・ドラム低域の芯まず基準にする
スネア/クラップ拍のアクセントキックより少し控えめから始める
ハイハット速度感小さめでも十分に聞こえる
タムフィルや装飾常時鳴らすなら控えめ
ベース低音フレーズキックとぶつからない音量にする

T-8は小型ですが、低音パートが重なるとすぐに密度が上がります。キックとベースを両方大きくするより、片方を主役にしてもう片方を支える形にすると扱いやすくなります。

TUNEとDECAYで輪郭を変える

バス・ドラムやスネアは、TUNEでピッチを調整できます。DECAYボタンを押すと、同じつまみで余韻の長さを調整できます。

余韻が長い音は存在感が出ますが、パターンが詰まっていると濁りやすくなります。逆に余韻を短くすると、タイトで乾いた印象になります。

操作音の変化
TUNEを上げるピッチが高くなり、抜けやすい
TUNEを下げるピッチが低くなり、重くなる
DECAYを長くする余韻が伸び、存在感が増す
DECAYを短くするタイトになり、隙間が増える

ハイハットは専用のDECAYつまみで余韻を調整します。オープン・ハイハットを長くしすぎると、スネアやベースの空間を埋めやすいので、パターン全体を聴きながら調整します。

ベースのフィルターを整える

ベースには、CUTOFFRESOENV MODがあります。これらはベースの明るさや動きに直結します。

操作子役割
CUTOFFフィルターの開き具合。音の明るさを決める
RESOカットオフ付近を強調し、クセを出す
ENV MODフィルターが動く量を決める
DECAYベース音の長さを決める

太く安定したベースが欲しいときは、CUTOFFを開きすぎず、RESOも控えめにします。動きのあるアシッド寄りのラインにしたいときは、RESOENV MODを上げ、スライドも組み合わせます。これは音作り上の提案であり、公式マニュアルの固定手順ではありません。

ベース波形を選ぶ

ベース波形はメニューのBass Waveで選びます。値は、のこぎり波と矩形波です。

  1. SHIFT + OCT+(MENU)でメニューを開きます。
  2. TEMPO/VALUEBass Waveを選びます。
  3. C#(ENTER)を押します。
  4. TEMPO/VALUEで波形を選びます。
  5. C(EXIT)で戻ります。

のこぎり波は倍音が多く、フィルター変化が聞こえやすい傾向があります。矩形波は輪郭がはっきりし、フレーズの存在感を出しやすい傾向があります。ここは音楽的な使い分けなので、同じパターンで切り替えて試すのが一番早いです。

メニューで細かく調整する

パネル上のつまみだけでなく、SHIFT + OCT+(MENU)からインスト別の詳細設定もできます。

メニューできること
Muteインストを一時的にミュート
Gainインストのゲイン調整
Tuneインストのチューニング
Decayインストの余韻
Pan左右の定位
Attackバス・ドラムのアタック
Snappyスネアの響き線の音量
Colorタム系のノイズ量
Tomタム・パートの音色
Hand Clapハンド・クラップ・パートの音色
Open HiHat Tempo Syncオープン・ハイハットの余韻をテンポに連動

メニューでインストを選ぶときは、対応するインスト・ボタンを押します。値を変えたら、C(EXIT)で一覧に戻り、もう一度C(EXIT)でメニューを抜けます。

パンで場所を作る

Panは、インストを左右に配置する設定です。表示はL64C0r63の範囲です。

本体単体でスピーカーやヘッドホンに出す場合、ハイハットやクラップを少し左右に寄せると、キックとベースの中心が見えやすくなります。ライブやモノラル環境を想定するなら、極端なパンは避けたほうが安定します。

ミュートで抜き差しする

ミュートは、メニューから設定できますが、通常画面でもSHIFTを押しながらインスト・ボタンを押すことでオン/オフを切り替えられます。ミュート中のインスト・ボタンは点滅します。

ミュート設定は、電源を切るとオフに戻ります。ライブ中の一時的な抜き差しとして考えると扱いやすいです。

使い方操作
キックだけ残すスネア、ハイハット、ベースをミュート
ブレイクを作るキックを一瞬ミュート
ベースを抜いて戻すSHIFT + BASS
フィル前に隙間を作るハイハットやクラップを抜く

オーバードライブで押し出す

オーバードライブは、インストごとのオン/オフと、全体のドライブ量、インストごとのレベルを設定できます。メニューではOverdrive OnOverdrive DriveOverdrive Levelとして扱います。

ショートカットとして、PATTERN + ステップ10でオーバードライブの設定に入れます。

オーバードライブは、低音の迫力を増やす反面、キックとベースがぶつかりやすくなります。最初はキックだけ、またはベースだけにかけて、必要なぶんだけ足すと判断しやすくなります。

ミックスの作業順

本サイトのおすすめ順は、次の流れです。

  1. キックのLEVELTUNEを決める
  2. ベースのLEVELCUTOFFDECAYを決める
  3. スネアとクラップを足す
  4. ハイハットの音量と余韻を下げ気味に整える
  5. タムやフィルの音量を決める
  6. 必要ならパン、ゲイン、オーバードライブを調整する
  7. 最後にディレイ/リバーブを足す

音作りは、足し算よりも引き算が効きます。T-8単体で気持ちよく鳴らすなら、全部を大きくするより、主役と脇役を決めるほうが早いです。

参考