第1章 SP-404MKIIでできること
SP-404MKIIは、サンプルを録る、鳴らす、切る、加工する、並べる、演奏するためのサンプラーです。パッドにサンプルを置いて鳴らすだけでなく、BUS FXで加工し、リサンプリングで音を固定し、パターン・シーケンサーやDJモードで曲として演奏できます。
この章では、サンプル、パターン、バンク、プロジェクトの関係を確認し、最初に触るべき操作を整理します。
データ構造をつかむ
SP-404MKIIでは、サンプルとパターンがそれぞれバンクに保存され、それらをまとめたものがプロジェクトです。
| 単位 | 数 | 内容 |
|---|---|---|
| パッド | 1バンクにつき16個 | サンプルやパターンを割り当てて演奏する場所 |
| サンプル・バンク | 10バンク、A〜J | 16個のサンプルのまとまり |
| パターン・バンク | 10バンク、A〜J | 16個のパターンのまとまり |
| プロジェクト | 16個 | 10個のサンプル・バンクと10個のパターン・バンクをまとめた作業単位 |
つまり、1つのプロジェクトには、サンプル用のバンクA〜Jと、パターン用のバンクA〜Jがあります。曲ごと、ライブセットごと、制作テーマごとにプロジェクトを分けると管理しやすくなります。
サンプルとは
サンプルは、録音した音声データと、その再生設定をまとめたものです。たとえば、次のような情報がサンプルに含まれます。
| 設定 | 何を決めるか |
|---|---|
START/END | どこから再生し、どこで止めるか |
GATE | パッドを押している間だけ鳴らすか |
LOOP | 繰り返し再生するか |
REVERSE | 逆再生するか |
BPM SYNC | テンポに合わせて再生スピードを変えるか |
| BUS出力先 | BUS 1、BUS 2、DRYのどこへ送るか |
ドラムのワンショット、声ネタ、長いループ、リサンプリングしたエフェクト音は、すべてサンプルとして扱います。
パターンとは
パターンは、パッド演奏の順番を記録したデータです。パッドを叩いたタイミング、サンプルの発音、エフェクト操作、Pad MUTEなどを記録して、ループとして再生できます。
最初は、次のように考えると整理しやすいです。
| 目的 | 使うもの |
|---|---|
| その場で素材を鳴らす | サンプル・モード |
| 演奏をループ化する | パターン・シーケンサー |
| エフェクト込みの結果を1つの音にする | RESAMPLE |
| 曲順や展開を作る | PATTERN CHAIN |
最初に使うプロジェクトを選ぶ
プロジェクトは1〜16から選びます。作業を始める前に、練習用プロジェクトを決めておきます。
SHIFTボタンを押しながらSUB PADボタンを押します。SELECT PROJECT画面が表示されます。- パッド
1〜16を押して、使うプロジェクトを選びます。 - プロジェクトが呼び出されると、トップ画面に戻ります。

画像出典: SP-404MKII Reference Manual Version 5.50 / プロジェクトを選ぶ
既存の素材を残したい場合は、使っていないプロジェクトを選びます。どのプロジェクトを使っているか分からないまま作業すると、別のセットを上書きしてしまう原因になります。
最初のバンクを選ぶ
サンプルを置くバンクは、バンクA〜Jから選びます。最初の練習ではバンクAを使います。
- バンク
A/Fボタンを押します。 - ボタンが点灯している場合はバンクA、点滅している場合はバンクFです。
- もう一度押すと、AとFが切り替わります。
- 同じ考えで、
B/G、C/H、D/I、E/Jも操作できます。
バンクA〜Eが選ばれているときはバンクボタンが点灯し、バンクF〜Jが選ばれているときは点滅します。
最初に作るパッド配置
最初のサンプル・セットでは、バンクAの16パッドを次のように使います。
| パッド | 置く素材 | 役割 |
|---|---|---|
1 | Kick | リズムの土台 |
2 | SnareまたはClap | 2拍目/4拍目 |
3 | Closed Hat | 細かい刻み |
4 | Open HatまたはPerc | アクセント |
5〜8 | チョップ素材 | フレーズ演奏 |
9〜12 | 声ネタ/効果音 | 展開や合図 |
13〜16 | ループ/リサンプル先 | 長い素材、加工後素材 |
これは練習用の配置です。ライブ用には、押しやすい位置に重要な音を置き、誤操作したくない素材は別バンクへ分けます。
SP-404MKIIの基本ワークフロー
SPらしい制作は、素材を直接完成形にするより、録る、加工する、リサンプリングする、再配置する、を繰り返します。
- サンプルをパッドに用意します。
START/ENDで再生範囲を整えます。GATE、LOOP、BPM SYNCなどを決めます。- BUS FXやMFXで加工します。
- よい加工を
RESAMPLEで空パッドへ録ります。 - リサンプル後の素材を、パターンやDJモードで演奏します。
リサンプリングすると、複雑なエフェクト操作や複数パッドの重ね鳴らしを、1つのパッドとして扱えるようになります。
どの章から触るか
| やりたいこと | 読む章 |
|---|---|
| まず音を鳴らしたい | 第2章、第3章 |
| 外部シンセやスマホを録りたい | 第4章 |
| 長い素材を切って演奏したい | 第5章 |
| SPらしい加工をしたい | 第6章 |
| ループを作りたい | 第7章 |
| ライブやDJ的に使いたい | 第8章 |
| SDカードやバックアップを整理したい | 第9章 |
最初は第2章から順に進めるのがおすすめです。すでにサンプルが入っている場合も、第3章で再生設定を確認してからエフェクトやパターンへ進むと、あとで迷いにくくなります。
次に試すこと
次の章では、プロジェクトを選び、バンクAに最初のサンプル・セットを作ります。SDカードからサンプルを読み込む方法と、空パッドへ録音する方法の両方を扱います。