第5章 OSC DRAWとOSC CHOP
OSC DRAWとOSC CHOPは、S-1らしい個性的な音を作るための機能です。OSC DRAWでは矩形波オシレーターを使ってオリジナル波形を発音させ、OSC CHOPでは波形を切り刻んで倍音を強調します。
どちらも効果が強いので、最初は短いパターンを再生しながら、少しずつ変化を確認します。
OSC DRAWでオリジナル波形を使う
OSC DRAWに入る手順は次の通りです。
SHIFTを押しながらパッド5(OSC DRAW)を押します。TEMPO/VALUEでパラメーターを選びます。- パッド
2(ENTER)を押します。 TEMPO/VALUEで値を変えます。- パッド
1(EXIT)で戻ります。
まずはSWをStEPまたはSLPEにします。OFFのときは通常の矩形波、StEPは階段状波形、SLPEは傾斜状波形です。OSC DRAWで作った波形の音量は、矩形波レベルつまみで調整します。
| パラメーター | 内容 | まず試すこと |
|---|---|---|
SW | OSC DRAWを使うか、波形の種類 | StEPまたはSLPEにする |
ForN | 16ステップの波高値で波形を作る | パッド1〜16で形を変える |
NULt | Multiply。作った波形の再生速度を変える | 1.0、2.0、4.0を試す |
ForNで波形を描く
ForNでは、1周期の波形を16個のステップに分割し、各ステップの音量を設定します。
- OSC DRAWのパラメーターで
ForNを選びます。 - パッド
2(ENTER)を押します。 - 編集したいパッド1〜16を押しながら
TEMPO/VALUEを回します。 - 値を-100〜100で変えます。
SHIFT+ パッド1(EXIT)でパラメーター選択画面に戻ります。
パッドを押している間、ディスプレイに波高値が表示されます。マイナスの値ではパッドが点滅、0では消灯、プラスの値では点灯します。±50以内の場合は暗い状態で点滅/点灯します。
練習として、次のように大きめの山を作ってみます。
| パッド | 値の目安 |
|---|---|
| 1〜4 | 80 |
| 5〜8 | 20 |
| 9〜12 | -60 |
| 13〜16 | 0 |
これは本サイトの練習例です。公式の指定波形ではありません。目的は、パッド1〜16が「音程」ではなく「波形の位置」として働く感覚をつかむことです。
Multiplyで倍音感を変える
NULt、つまりMultiplyは、ForNで作った波形を1波長の中でどのように再生するかを変えます。1.0では作った波形と1波長の長さが一致します。2.0、4.0、8.0、16.0、32.0と上げると、オクターブが上がるように倍音感が変化します。
- OSC DRAWで
NULtを選びます。 - パッド
2(ENTER)を押します。 TEMPO/VALUEで1.0、2.0、4.0を試します。
発音されるノートの周波数が高い場合、Multiplyを極端に上げるとノイズが発生します。その場合は、Multiplyを下げるか、ノートのオクターブを下げます。
OSC DRAWをつまみで触る
OSC DRAWには、パッド操作だけでなく、つまみからのショートカットもあります。
| 操作 | 内容 |
|---|---|
SHIFT + のこぎり波レベルつまみ | SWを変更 |
SHIFT + 矩形波レベルつまみ | NULtを変更 |
ライブ中に細かく波形を描くのは難しいので、制作中はパッドでForNを編集し、演奏中はNULtをつまみで少し動かす、という使い分けが現実的です。
OSC CHOPで波形を切り刻む
OSC CHOPに入る手順は次の通りです。
SHIFTを押しながらパッド6(OSC CHOP)を押します。TEMPO/VALUEでパラメーターを選びます。- パッド
2(ENTER)を押します。 TEMPO/VALUEで値を変えます。- パッド
1(EXIT)で戻ります。
OSC CHOPでは、波形を16個のステップに分け、どの部分を切り取るかを指定できます。
| パラメーター | 内容 |
|---|---|
ovtn | Overtone。値を上げるほど効果が深くなり、倍音が強調される |
Sqr.P | 矩形波のチョップ・パターン |
SAW.P | のこぎり波のチョップ・パターン |
SUb.P | サブ・オシレーターのチョップ・パターン |
noi.P | ノイズのチョップ・パターン |
CoNb | Comb。チョップ・パターンの繰り返し回数 |
ovtnが0の場合、Chop Patternの効果は得られません。このとき、警告としてステップ・パッド1〜16が点滅します。
チョップ・パターンを編集する
- OSC CHOPで
Sqr.Pなどのチョップ・パターンを選びます。 - パッド
2(ENTER)を押します。 - 切り取りたい位置のパッド1〜16を押して消灯させます。
- もう一度押すと元に戻ります。
SHIFT+ パッド1(EXIT)で戻ります。
最初は、矩形波だけを使って、パッド偶数番だけを消灯させてみます。波形が周期的に切り刻まれ、倍音が増えてザラついた印象になります。
| パッド | 状態 |
|---|---|
| 1, 3, 5, 7, 9, 11, 13, 15 | 点灯 |
| 2, 4, 6, 8, 10, 12, 14, 16 | 消灯 |
CoNbを上げると、切り取りパターンが波形の中で繰り返され、金属的な効果が出ます。ただし、発音されるノートの周波数が高い場合、Combを極端に上げるとノイズが発生します。また、ノート周波数が1kHzを超えるとOSC CHOPの効果はかかりません。
OSC DRAW/CHOPを曲中で使う
OSC DRAWとOSC CHOPは単体で聴くと面白いのですが、曲中では強すぎることがあります。次の順番で整えると使いやすくなります。
- OSC DRAWまたはCHOPで音の個性を作る
FREQを少し閉じて、耳に痛い成分を抑えるRESOを下げ、必要ならあとで少し戻すDECAYやRELEASEを短くして、音の重なりを整理するDELAYとREVERBは薄く足す
ベースに使う場合は、OSC CHOPをかけすぎると低域の芯が弱くなることがあります。リードや効果音に使うほうが変化を活かしやすいです。
モーションと組み合わせる
OSC DRAWのNULtやOSC CHOPのovtn、CoNbは、モーションで動かすと短いループでも大きな変化を作れます。
練習として、ステップ13だけOSC CHOPの効果を強くしてみます。
- パターンを停止します。
- ステップ13を押します。
- ステップ13を押したまま、OSC CHOPの
ovtnに対応する操作を少し変えます。 - 再生して、ループ終わりだけ音が変わるか確認します。
登録できるモーションは1パターンあたり最大8種類のパラメーターとピッチ・ベンドです。FULLと表示されたら、不要なモーションを削除します。
保存する
OSC DRAW/CHOPでよい音ができたら保存します。
SHIFT+ パッド16(WRITE)を押します。TEMPO/VALUEでPtnを選びます。- パッド
2(ENTER)を押します。
次の章では、ノート、演奏情報、モーションをシーケンサー上で編集する方法を扱います。