第5章 フレーズとアルペジオ
J-6のSTYLEフレーズは、入力したコードをもとに、アルペジオ、刻み、コード・フレーズ、ストローク風の動きを自動生成する機能です。コードをそのまま鳴らすだけでは静かな伴奏ですが、STYLEを使うと同じコード進行からリフやシーケンスのような動きを作れます。
この章では、STYLE ON、STYLE、VARIATIONを使って、コード進行を動かす練習をします。
STYLEをオンにする
まず、コードを鳴らしながらSTYLEをオンにします。
CHORDを押して点灯させます。- STYLE
ONを押して点灯させます。 - 鍵盤ボタンを押します。
STYLE ONが点灯していると、押したコードがSTYLEとVARIATIONの設定に従って鳴ります。コードで鳴らしたときの効果を確認したい場合は、CHORDも点灯させます。
コードそのものを確認したいときは、STYLE ONを消灯します。これで、フレーズ化される前のコードだけを聴けます。
STYLEとVARIATIONを選ぶ
フレーズのタイプは、STYLEとVARIATIONで選びます。
STYLEつまみを回します。- 大きなフレーズ・タイプが変わります。
VARIATIONつまみを回します。- 同じタイプ内の細かい違いが変わります。
SHIFTを押しながらSTYLEまたはVARIATIONを回すと、現在のスタイルとバリエーションがディスプレイに表示されます。手元の位置だけでは現在値がわかりにくいときに使います。
フレーズ一覧の読み方
公式のフレーズ一覧には、ARPEGGIO、BEAT、PHRASE系のパターンが並んでいます。たとえば、上昇アルペジオ、下降アルペジオ、8分、16分、シンコペーション、コード・フレーズ、ストラム風のフレーズなどがあります。
最初は名前を細かく覚えるより、次のように使い分けると実用的です。
| ほしい動き | 試す方向 |
|---|---|
| 伴奏を薄く動かす | 8分のアルペジオ |
| リフらしく細かく動かす | 16分のアルペジオ |
| コードを刻む | BEAT系 |
| 曲らしい伴奏にする | Chord Phrases系 |
| ギターのように鳴らす | Strummed Chord Phrases系 |
フレーズ一覧では、oが16分音符、_が16分休符、o~が8分音符、o~~が付点8分音符を表します。BEAT系の表示を読むときは、どこで鳴ってどこで休むかをこの記号で確認できます。
第2章のコード進行にSTYLEを足す
第2章で作った、ステップ1、3、5、7のコード進行を使います。
- パターンを再生します。
- STYLE
ONを点灯させます。 STYLEをゆっくり回します。- 気に入った位置で止めます。
VARIATIONを回して、同じSTYLE内で違いを探します。
コードの変わり目がわからなくなった場合は、STYLE ONをいったん消灯します。コード進行が問題ないことを確認してから、もう一度STYLEをオンにします。
ステップごとにフレーズを変える
STYLE ONが点灯している状態で選んだフレーズは、パターン全体にも記憶されます。さらに、ステップ編集中にSTYLEをオンにして選んだフレーズは、そのステップにも記憶されます。
最初の練習として、ステップ7だけフレーズを変えてみます。
- ステップ7を押します。
- STYLE
ONを点灯させます。 STYLEまたはVARIATIONを変えます。- ステップ7をもう一度押して編集を終了します。
- 再生して、ループ終わりだけ動きが変わるか確認します。
STYLE ONが消灯、つまりSTYLE: OFFのステップは、手前のステップで選ばれたフレーズを引き継ぎます。再生開始位置からSTYLE: OFFのステップが続く場合は、パターンに設定されているフレーズが反映されます。
この仕組みは少し複雑ですが、実用上は「変えたいステップだけ選んでSTYLEを指定する」と考えると扱いやすくなります。
アルペジオを伴奏にする
アルペジオ系は、コードの構成音を順番に鳴らすため、コードをリフのように聴かせられます。最初は8分系を選ぶと、T-8のハイハットやS-1のシーケンスとぶつかりにくくなります。
練習手順は次の通りです。
- STYLE
ONを点灯します。 STYLEをARPEGGIO系に合わせます。VARIATIONで上昇、下降、上昇下降の違いを探します。FILTERを少し閉じて、音が前に出すぎないようにします。DELAYを少し足して、フレーズ感を出します。
音が多すぎる場合は、16分系から8分系に戻します。コードを変える前に、まずSTYLEの密度を下げると、進行の印象を保ったまま整理できます。
BEAT系で刻みを作る
BEAT系は、コードを一定の位置で鳴らしたり休ませたりするフレーズです。パッド的なコードをリズムに合わせて刻むときに便利です。
次のような使い方が向いています。
| 目的 | 設定の考え方 |
|---|---|
| 裏拍で跳ねる伴奏 | 休符の多いBEATを選ぶ |
| 4つ打ちに合わせる | 8分または16分の規則的なBEATを選ぶ |
| ブレイクを作る | 最後のステップだけBEATを変える |
| 音数を減らす | ENVELOPEのリリースを短めにする |
BEAT系は、ディレイやリバーブをかけすぎると休符の隙間が埋まります。刻みをはっきり聴かせたい場合は、REVERBを控えめにします。
PHRASE系で曲らしくする
Chord PhrasesやStrummed Chord Phrasesは、単純な分散和音よりも、伴奏らしい動きを作りやすいフレーズです。完成度は上がりますが、フレーズの主張も強くなります。
使うときは、次の順番で確認します。
- STYLE
ONを点灯します。 - Chord Phrases系を選びます。
VARIATIONを変えて、コード進行に合うものを探します。FILTERで明るさを抑えます。- T-8など他パートと合わせる場合は、音数が多すぎないか確認します。
フレーズが曲を引っ張ってくれる一方で、ほかのメロディとぶつかることがあります。S-1でメロディを鳴らす予定がある場合は、J-6のPHRASEを少し控えめにするか、BEAT系に変えると整理しやすくなります。
HOLDで手を離して確認する
HOLDをオンにすると、鍵盤から指を離しても押さえている状態を保てます。音色やSTYLEを探すときに便利です。
HOLDを押して点灯させます。CHORDをオンにします。- 鍵盤ボタンを押します。
- 指を離し、
STYLEやVARIATIONを回して違いを確認します。 - 止めるときは
HOLDを消灯します。
シーケンサーに入力する前に、コードとフレーズの相性を試す用途に向いています。
フレーズを整理する判断基準
J-6はSTYLEを変えるだけで派手になりますが、曲の中で使いやすいかどうかは別です。次の基準で整理すると、初学者でも判断しやすくなります。
| 聴こえ方 | 対処 |
|---|---|
| 忙しすぎる | 16分系から8分系へ、またはBEAT系へ変更 |
| コード感が薄い | STYLEをオフにしてコードを確認 |
| リズムとぶつかる | BEATの位置、DELAY量、ENVELOPEを見直す |
| 音が前に出すぎる | FILTERを閉じる、REVERBを控える |
| 変化が少ない | 最後のステップだけSTYLE/VARIATIONを変える |
保存する
STYLEやVARIATIONを変えたら、保存します。
SHIFT+ 右側の鍵盤C(WRITE)を押します。TEMPO/VALUEでPtnを選びます。D(ENTER)を押します。
次の章では、音色、フィルター、エンベロープ、ディレイ、リバーブで、J-6のコードをミックスの中に置く方法を扱います。